「情熱大陸」に平取町の彫刻家が出ます

ファンも多い長寿番組「情熱大陸」で5月31日(日)23時から平取町の彫刻家・貝澤徹さんが取り上げられます。もちろん全国ネットです!

平取町二風谷地区の目抜通り。国道に面した二風谷地区の中心地に「北の工房つとむ」というお店とアトリエがあって、私も何度も訪れていて、徹さんと呼ばせていただいています。

お土産屋さんもあるので、いつもいきなり行くんですが、徹さんは仕事の手を止めてにこやかに「コーヒーでもどうだい?」と美味しいコーヒーを入れてくださり、いろいろな話をさせて頂きました。お店とアトリエが繋がっているので、奥さんも手が空いたらいらっしゃって、一緒に加わったりして。

徹さんのおじいさんは、明治時代の名工と言われた有名な彫刻家です。ご自身は、二風谷の伝統的なアイヌ文様に現代アートをミックスさせた個性的な作風を得意とされています。

上の写真でちょっと見えてるアイヌ文様のカブトムシもそうですし、以前にブログで紹介しましたが、札幌の地下鉄の駅近くにあるミナパでは、一番大きくて象徴的な巨大フクロウにジッパーをあしらった服を合わせるという発想で、一本の木から素晴らしい作品を創られました。自然の木にある穴や、それぞれの木の歪みなどを見て、その形を活かした発想をされるのです!

徹さんの作品は、イギリスの大英博物館にも所蔵されています。そんな一流彫刻家の徹さんなのですが、写真を見てもわかるように、優しい笑顔が素敵で「目立つのは得意じゃない・・・」とおっしゃる謙虚な職人さんなのです。私は二風谷アイヌ文化博物館のロビーの展示映像を作った折に、徹さんにインタビューした事があります。平取町に行く機会がある方は、徹さんのお店「北の工房つとむ」に行ってみてください。大きな看板なのですぐにわかると思います。それから、博物館の展示映像は入ってすぐですので、もし徹さんに会えなかったらインタビューを聞いてみてください。ウトレントクさんの思い出や、彫刻家になった経緯、アイヌ文様の説明なども喋っていただいています。

「情熱大陸」は、ぜひ、たくさんの人に見て欲しいです

コロナ禍はバーチャルミュージアムで!

新型コロナウィルスの影響により、博物館や様々な施設、イベントが閉鎖中ですが、バーチャルミュージアムという形で、インターネットを使って、出かけなくても博物館を楽しめるサービスを始めているところがあります。

その中で、アイヌに関する情報を得られるものを2つご紹介します。

みんぱく(国立民俗学博物館)

おうちでみんぱく」子供向け(だけど大人でも楽しいかも)

民族衣装への塗り絵や、紙ビーズ、立体的なおもちゃも作れる型紙のダウンロードなど。

バーチャルミュージアムでは、実際の博物館の中が3Dで表示され、マウスで操作しながら好きな展示を見る事ができます。

★北海道博物館

おうちミュージアム

アイヌだけでなく北海道にちなんだ様々な情報や遊びが今のところ、第24弾まで載ってます。編み物とかカルタなどの手を使って子どもと遊べるグッズ紹介、アイヌ料理のレシピも載ってますよ。

★★北海道から沖縄まで、全国にあるその他のバーチャルミュージアムのリストはこちら

せっかくなので、海外のも調べてみました。

こちらには10館。

イギリスの大英博物館、ニューヨークのグッゲンハイム、オルセーミュージアムやピカソなどなど・・・世界のアートをネット上で鑑賞することができます。

この記事では、美術館や博物館に加えて、動物園と水族館、テーマパークを取り上げてくれています。

ちょこっとチェックしただけですが、動物園と水族館はライブで動物の様子が見られるようですよ!バーチャルだけど、海外まで行かなくても行った気分になれるかも!?

アイヌの映画がNYのトライベッカ映画祭で受賞!

「AINU MOSIR」という映画(ドラマ)が、ニューヨークのトライベッカ映画祭で審査員特別賞を取ったという素晴らしいニュースのお知らせです。こちらに速報の記事が出てきます。トライベッカ映画祭は、2001年のニューヨークでのテロからの復興を願ってロバート・デ・ニーロら3人が始めた映画祭で、アメリカ国内でも大きな映画祭として有名です。上でリンクを貼った記事にも書いてありますが、国際/ドラマ/コンペのカテゴリーで日本映画が受賞するのは、本作が初めてだそうです。

「アイヌモシ」というアイヌ語の解釈は諸所ありますが、私の映画では「アイヌの大地」と訳しています。アイヌは人間、モシは大地で、「人間の大地」「人間の静かな大地」と訳される事もあります。

「AINU MOSIR」の撮影の舞台は阿寒町です。阿寒湖のマリモが有名で、アイヌコタンというアイヌ関連のお店などが集まったコミュニティもあって私も一度訪れた事があります。

脚本・監督は、北海道出身の福永壮志さん。ちょうど私が撮影を始めた2016年の夏に、福永さんが平取町を来訪されていて、お会いした事もあります。当時、福永さんはニューヨークに住んでおられたので、偶然、同じ町で会うなんて、やっぱり平取は人を惹き寄せる場所だなぁと思っていました。その後、福永さんはフランスのカンヌ映画祭の脚本を支援するプログラムに選出されて、パリに行かれたので、結局ニューヨークでは再会できませんでした。

私が平取で上映会をした2018年の夏に、阿寒で撮影中と新聞に出ていたので、いよいよ完成が近づいてきたなぁと、その時から楽しみにしていました。

ドキュメンタリーとドラマ形式の制作方法は全く異なります。私が今回作ったドキュメンタリーは、撮影・編集・仕上げは、基本全て私が行っていて、予算も私が賄える範囲なので小規模です。台本はなく、大まかに準備した構成に沿って、その時に撮影できる事を文字通りドキュメントします。イベントなどは撮り直しできませんから、一発勝負。失敗したら終わりです。

一方で、ドラマは時間をかけて脚本を練り上げ、役者さんを吟味し、撮影ではカメラ・音声・照明・メイクアップなど様々な分野の専門スタッフが協力し、撮影の時もベストのテイクが撮れるまで行われます。何回も撮れるとはいえ、全ての職人が完璧な瞬間を狙って撮りますから、現場の緊張感はかなり張り詰めています。予算も手間もスタッフも大規模です。一般的にはドラマの方が華やかで、人気があるのではないかと思います。

私もドラマ形式の仕事をした経験は何度かありますが、ドキュメンタリー現場の方が、自分の性格に合っていて好きだったので、これまでドキュメンタリーを中心にした仕事をしてきました。視聴者としては、両方観ますが、どちらかというとドラマの方を好んで観てるかもしれません。

福永さんの撮影中の記事を読んだ時、同じような時期に、ドキュメンタリーとドラマでアイヌの映画が出来るという偶然が結構嬉しかったのですが、今回のような有名な映画祭での受賞は、世界でアイヌが注目される大きなきっかけとなりますので、本当にすごい事だと思っています。トライベッカ映画祭は毎年今頃に行われるので、「AINU MOSIR」を観に行くのを楽しみにしていましたが、今年は新型コロナウィルスの影響で延期となってしまいました。

日本では、秋に公開予定ですので、どうかご注目ください。ドキュメンタリーとドラマ、両方観る事で、様々な事を多角的に感じ、考えていただけたら嬉しいです。