日本の先住民族・アイヌ  |  Ainuはアイヌ語で「ひと」の意

 

かつて、アイヌモシ(アイヌの大地)と呼ばれた

北海道の日高地方・平取町には、今も多くのアイヌ民族が暮らしている。

アイヌ文化研究において多大な貢献を果たした故・萱野茂氏の出身地でもある。

1869年、明治新政府がアイヌ民族を「平民」として戸籍を作成し、

同化政策や開拓を進めた結果、アイヌ文化は急速に衰退していった。

 

 

一世紀半経過した今、

生活スタイルを変容させながらも

アイヌ文化を伝承する努力を続けてきたこの地域には

現代のアイヌが快活に生きる。

ドキュメンタリーの主人公は、個性多様な4人の「Ainu=ひと」たち。

 

差別と貧乏を経験した人、

伝統的な縫物を作る人、

祖母のカムイユカ(口承文芸)を聞き覚えている人、

イオマンテ(熊送り)などの儀礼儀式を小さい頃に見聞きした人。

 

文化伝承のために、地域のリーダー的存在として、積極的に活動する。

昭和から平成のアイヌの変容を示す生き証人でもある「ひと」の姿を描いたドキュメンタリー。

2018年|日本|HD |81分

*授業等で使いやすい61分バージョンもございます。直接お問い合わせください。(ainuhito@gmail.com)


 

<監督のステートメント>

私は兵庫県で生まれ育ち、アイヌ民族について殆ど知識のないまま大人になりました。南米コロンビアの先住民族と協働で映像制作をした経験から、母国の先住民族の事を知りたいという思いが強くなり、2008年に初めて平取町を訪れました。

当初は、共通点も多い海外の先住民族との交流活動ができないかと模索しておりました。2015年に幾度目かの訪問をした際、二風谷アイヌ文化博物館の方の「今のアイヌ文化を映像記録として残したい」という言葉にも動かされ、映画を製作しようと決めました。

主人公の4人の古老は、戦前に生まれ、時代の過渡期を生き抜き、80代になってもアイヌ文化の継承の為・自分の勉強の為に、様々な地域の活動を積極的に行っている人たちです。博物館の提案で名前があがりましたが、偶然にもアイヌ語教室を通して、私が長年、見知った人たちばかりでした。

特に構成も考えず、四季を通した活動を淡々と記録する形で撮影を始めましたが、個性も経験も異なる4人のライフストーリーやアイヌ文化を継承する活動は、ドキュメンタリーとしても成立し、アイヌ史、ひいては日本史の貴重な映像になるという確信がありました。

この十数年、市民メディアに興味を持って活動してきたので、二風谷アイヌ文化博物館には協働制作の立場で、制作プロセスに密接に関わっていただきました。また、地元での上映会や後世への映像資料として活用してもらいたかったので、撮影した全ての素材と完成作品は博物館に寄贈いたしました。

海外だけでなく、日本国内の特に本州以南では、アイヌ民族の事は殆ど知られていません。このドキュメンタリーで、アイヌの全てを網羅する事は、到底できませんが、少しでもアイヌの人々の人生や歴史、そして、文化の豊かさやカッコ良さに関心を持つ人が、国内外で増えるきっかけになる事が一番の願いです。(監督:溝口尚美)